新型コロナウイルスのエアロゾル感染対策に
次亜塩素酸水の空間噴霧について厚労省があらたな解明

(2021/9/13)

第3回感染対策を資材と方法から考える超党派議員連盟の場で、厚労省から「空間噴霧を推奨していないのは消毒効果を要する強い薬剤を指しているものであり、消毒剤ではない(雑品の)次亜塩素酸水の空間噴霧については、各社の取り扱いに従って安全に使うようQAを変更した」旨報告があり、山本厚労省副大臣からは事務通達で現場に伝達することが明言された。

9月8日水曜日14時より参議院議員会館講堂で第3回の議員連盟が開催された。空気感染を防ぐための換気と空調に関する基調講演の後各省からの中間報告があった。 (議連の模様はホームページに掲載)

厚労省からは「空間除菌についての考え方について次亜塩素酸水の話が話題になっていたが、(厚労省が規制しているのは)いわゆる消毒効果を要するような強い薬剤を指しており、これについてQ&Aを修正した。」との報告があり、新型コロナウイルスの第5波が収束しない中で1年以上にわたる次亜塩素酸水の空間噴霧に対する厚労省の見解が修正された。

議連の後すぐに議連議員団が厚労省副大臣と経産省副大臣に提言書を手交した際には、厚労省副大臣同席で、WHOガイダンスの中に次亜塩素酸水が含まれてないことをJFKが確認しており、QAの変更により消毒剤ではない次亜塩素酸水については各メーカーの取り扱いに従って安全に使ってもらうことで実態的に空間噴霧の規制の対象外としたという説明があった。副大臣からはホームページのQA変更だけではなく事務通達で出すことも明言された。ただし、現在のQAではこのような事情を知らない人にとっては未だ消毒剤としての次亜塩素酸水が危険であるという認識をされかねないので、さらに議連から厚労省に通達文言やチラシの変更を求めている。

 

解説

2020年5月新型コロナウイルスの第一波、第二波が猛威を振るう中で消毒薬アルコールの不足が社会問題になり、その対策として飲用アルコールや洗剤、界面活性剤などとともに医薬品ではない次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに効果があるのではないかとの期待から経産省主導でNITEによる試験が行われた。それまでノロウイルスやO-157、新型インフルエンザ等の感染対策で広く活用されてきた次亜塩素酸水には新型インフルエンザと同じエンベロープウイルスである新型コロナウイルスにも有効であるのではないかとの期待に応え、6月末のNITEの試験結果発表でその不活化効果が発表された。ところが、NHKをはじめとする一部メディアが次亜塩素酸水の空間噴霧は人体に危険であるとの科学的根拠のない報道を行ったことから、空間噴霧に対する誤った風評が広がった。厚労省も「空間噴霧はおすすめしない」とのポスターや事務連絡を行ったことから、全国の学校や介護施設などで次亜塩素酸水の空間噴霧機の撤去が行われ、本来防いでいた感染対策が封じられたことによる感染拡大が起きた施設もあった。

これに対して次亜塩素酸水メーカーや研究者等が2020年6月に一般社団法人次亜塩素酸水溶液普及促進会議(JFK)を設立し、次亜塩素酸水による感染防止対策の普及をアピール。悪質な風評により使用を止めた学校や介護施設などでも感染対策として復活するところも増えたが、保健所の事務通達に従った指導により地方自治体施設や公共施設では撤去の動きが進み、ワクチン接種場などでの活用も控えられた。この事務通達の根拠とされていた2020年5月のNITEファクトシートにあるWHOガイダンスについて、元WHOエイズ対策国際課長の北海道大学玉城名誉教授がWHOに確認したところ「このガイダンスは人体に害がある消毒薬について警告したもので次亜塩素酸水(HOCL)はそれに該当していない」との公的レターが返信された。厚労省の今回のQAの変更、新たな事務通達についてはこのような背景の中で、「感染対策を資材と方法から考える超党派議員連盟(片山さつき会長)」の追及に対して応えたものである。

現在、新型コロナウイルス変異種では感染力を増したウイルスの空気感染による感染拡大が原因とみなされており、換気ができない部屋や機械換気が不十分な施設、最大限の感染リスク対策を必要とする学校、介護施設、医療機関などでは、次亜塩素酸水による除菌型空気清浄機の配置や次亜塩素酸水霧化機による空間除菌が必要とされ、議員連合ではこれら空間除菌対策への政府の支援とそれによる産業経済の復活を提言している。